2014年4月30日水曜日

育守。子どもの得意を一緒に考え、地域に誇りが持てるようになること

—その1 一緒に作る、遊ぶ。

  私たちの活動地域である与謝野町滝・金屋地区の校区には与謝小学校という全校生徒約90人の小学校があります。その小学生を対象として毎年夏休みに、地域の団体である子ども愛護会が主催するイベントが実施されていました。その企画を「今年、一緒にやらないか」と声をかけていただき、京都精華大学テキスタイルコースの大場菜冬実を中心に育守プロジェクトがはじまりました。
  01 大場

 2012年は丸一日をかけて「夏休み子どもXキャンプ」というイベントを企画し、小学生と大学生、子ども愛護会とで総勢100人という大所帯で、ダンボールを用いた巨大迷路をつくって遊びました。
 私は、京都Xキャンプが始まる前、河和田アートキャンプという地域づくり活動で子どもと共に行うワークショップを2年間行ってきました。そのなかで、「遊びながら学ぶ。学びながら遊ぶ。」をテーマに、小学生と接し、感じるところから案を深めていきました。
 与謝野町では、井上巧さんを中心とした与謝小学校PTAや子ども愛護会の皆さんが、活動一年目で地域のこともわからず不甲斐ない私たちを、熱くサポートしてくださいました。例えば、1年目の迷路づくりで必要なダンボールをわざわざ家電量販店を車でまわって集めて頂くなど、とても助かりました。この企画自体を、それぞれがお互いに動けるところを考えて、分担してメールなどでのやり取りをしながら作り上げることが出来ました。
  02 ダンボール

 また地域の方がたくさん関わってくれる分、保護者などの地域の方の要望や意見がたくさん出てきます。例えば、「勉強を教えて欲しい」「一緒遊んで欲しい」など…。当たり前かもしれないですが、保護者はやっぱり勉強を教えてもらいたいのだということを再認識しました。「子どもたちが楽しかったー!」という言葉も嬉しいですがそれだけでなく、親目線からの率直な感想が聞けるというところが私にとってはとても新鮮で、いままでのワークショップとの違いを感じています。


—その2 顔と名前を覚える、楽しみが増える

子どもとのワークショップを企画し、共にダンボール迷路を制作したり、そこで一緒に遊ぶことでお互いに名前や顔を覚えます。夏が終わり、自転車で走っていると子どもたちが「あの人見たことあるー!システマー!(あだ名)」と声をあげてくれます。
  03 こどもたち

 大学生が子どもたちに会いに与謝野に。子どもたちも私たちが来るのを楽しみにしてくれている、そんな関係がもっと結ばれていったらいいなと感じながら、2年目の子どもキャンプを行いました。
 2年目は総勢70人の子どもたちをいくつかのチームに分け、iPhoneでとった写真を繋ぎあわせてストップモーション映像を作成し、現実では絶対出来ない動きやストーリーをみんなで考えて、「魔法のよさのさんぽ」と題し、撮る・繋ぎ合わせる・一緒に見ることを行いました。
  04 よさの散歩1

 かつては川で魚を取り、山を駆け回りながら遊んでいた子どもたちですが、近年、どの地域でも子どもの遊び方が変わってきています。現在与謝野町では、熊や猪が山から降りてきて「危ない」ということで山に入ることが推奨されていなかったり、親に止められていたりします。そのため、放課後は家の中でも外でもニンテンドーDSをしています。育守では、それらの現状を「よくない!」と切り捨てるのではなく、携帯やDSなどを用いながら家の中外関係なく、友達同士で楽しく遊べる形を提案しました。このストップモーションは子ども同士でも撮ることが出来、繋ぎ合わせて楽しめる、ただ既存のゲームをするだけでない「道具の使い方」を一緒に行いました。
  05 よさの散歩2


—その3 もっと遊びを知って、得意も伸ばしていきたい。

  私たちの主な滞在活動期間は夏休みです。地域の方からその期間に「子どもたちに勉強を教えて欲しい」という要望が出てきました。そこで、2年目には「文武両道」の考えである座学、実践に加え、楽しみを表す「遊び」の要素を足すことで充実した人生を有意義に創れるのではないかという考えのもと、「文武遊堂」と題し、夏休みの宿題(座学)だけでなく、運動や遊びも学べる寺子屋を3地域(与謝地区・滝地区・金屋地区)で計6回行いました。それらの学びの三要素を通し、それぞれの子どもたちが、様々な興味関心の広がり、経験などを通して将来への選択肢が増えるのではないかということを考えながら、「共に学ぶ・遊ぶ」を行っていきました。
  06 文武遊堂


—その4  共に育む、長期の目線。

  育守プロジェクトの面白いところは、子どもとの関係が1年限りの一期一会の関係ではなく継続性があるということです。たまたま勉強を教えたり共に遊んだことで、その子が勉強に目覚めたり、趣味に目覚めたりすることで現在の小学生がその道に進んでいくかもしれません。また、彼らが大学生に成長した時、Xキャンプから離れても、僕とその子たちとの関係は続きます。それがいつしか互いに力となる時がくるかもしれません。その子達にとって少し先輩として、少しだけ先の素敵な未来を見据えながら行っていくところが育守の魅力であり可能性と感じています。
  07 和田

 育守の面白さは子どもに対してだけでなく、地域同士での繋がりや、子どもから親へ「Xキャンプのお兄ちゃんたちとこんなことして遊んだー!今度一緒に山で○○しよう!」といった子どもから、親や地域の大人達へ遊びの提案や、文化をつくっていくことへと繋がっていくと考えています。実際に、僕が忍者の格好でいると、子どもたちは家に帰って親に「忍者がいる!」と伝えており、たまたま話した地域の人に「子どもが言ってたぞ!忍者て、お前か!」と言われたことも…。(笑)そういった子どもからの浸透や、地域との繋がりがみえる部分に面白さを感じているし、もっと追究していきたいと考えています。 がりがみえる部分に面白さを感じているし、もっと追究していきたいと考えています。


 —その5  子どもの成長は思ったより早い。3年目の育守。

 子どもの成長は私たちが思っているよりも早いことがあります。この活動が始まったときに1年生だった子は3年生になります。あっという間に低学年から高学年へと成長します。その成長に合わせて、子どもたちの将来や、様々な経験を一緒にしていけることが出来ると、もっとそれぞれの得意分野を見つけ伸ばし、与謝野のことを好きになることが出来ると考えています。毎年様々な経験をすることのひとつとして山守プロジェクトが考える山の中に子どもとスポーツの出来る場を考えています。「危ないからさせない」のではなく、地域の方と相談しながら、可能な範囲で危険を知ることの大切さを上手く伝えていけるように山での遊び方の提案もしていけたらと考えています。
  08 山のws

 自分たちが楽しんですること、楽しみながら考えることを大切に、「本気の遊び」を作っていきたいと考えています。子どもがすきな人はもちろんのこと、楽しみながら、子ども、親目線、様々な視点で考えていきたい人にオススメです。興味のある方はぜひ、ご連絡ください。

【育守参加メンバー】

○京都精華大学
芸術学部素材表現学科 大場菜冬実
マンガ学部マンガ学科 西原堂人
芸術学部日本画学科 竹中友美
人文学部総合人文学科 伊東絢野

○京都工芸繊維大学
デザイン経営工学過程 和田両磨

○嵯峨芸術大学
造形芸術学科油画分野 当真慶信/藤本貴士
イラストレーション領域 白川ナナミ
専攻現代アート領域 榎本奈々子
短期大学部マンガ分野 石原靖子
映像領域 市川秦雅

○京都外語大学
外国語学部英米学科 田中智子

○京都大学
工学部建築学科 西川平祐
文学研究科 松山沙樹

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